Cloudflareの地図
Cloudflareは何をしてくれるのか
世界中に置かれた「近所の営業所」
Cloudflareを一言で言うと、インターネットの「受付」を代わりにやってくれる会社です。
この一行がしっくり来れば、この章は終わったも同然です。
この章でわかること
- Cloudflareが、あなたとお客さんの「間」に立つ会社だということ
- そこで何をしてくれるのか(速くする・守る・動かす)
- なぜ個人が無料で使えるのか
まず、たとえ話から
あなたが北海道でお菓子屋さんをやっているとします。
全国から注文が入るようになりました。
うれしい話ですが、沖縄のお客さんに届くまで3日かかります。
しかも、お店の住所が公開されているので、いたずら電話も直接かかってきます。
そこで、全国に営業所を持つ運送会社と契約しました。
人気商品はあらかじめ各地の営業所に置いておいてもらう。
注文の電話も、まず運送会社の受付が取ってくれる。
いたずら電話は受付の時点で止まる。
あなたの手元に来るのは、本当に必要な用件だけです。
Cloudflareがやっているのは、これのインターネット版です。
- 1見る人(世界中)あなたのページを見に来る
- 東京の人
- ロンドンの人
- いたずら
- 2Cloudflare間に立って3つの仕事をする
- 速くする:近くにコピーを置く
- 守る:怪しい通信を止める
- 動かす:ここで処理までやる
- 3あなたの中身ページ・画像
1つめの仕事:速くする
Webサイトの中身は、どこか1か所のコンピューターに置いてあります。
日本にしか置いていなければ、ブラジルの人が見るときは地球の裏側まで取りに行くことになります。
物理的に距離があるぶん、待ち時間が生まれます。
Cloudflareは世界中にコンピューターを置いていて、公式サイトによると348都市に展開しています。
そして「世界のインターネット利用人口の95%が、Cloudflareのデータセンターから50ミリ秒以内の距離にいる」と説明しています。
50ミリ秒は0.05秒です。
あなたのページの中身をここにコピーしておけば、ブラジルの人にはブラジル近くのコンピューターから返せます。
これが速くなる理由です。
データセンター
コンピューターを大量に並べて動かしている建物です。
「クラウド」と呼ばれているものの正体は、だいたいこれです。
雲の上ではなく、地上のどこかの建物の中に、あなたのファイルは実際に置かれています。
2つめの仕事:守る
インターネットに何かを公開すると、悪意のある通信は必ず来ます。
個人の小さなサイトでも来ます。
狙って来るというより、機械が自動で世界中を総当たりしているからです。
Cloudflareが間に立っていると、その通信はまずCloudflareに届きます。
あきらかにおかしいものは、そこで止まります。
あなたの中身までは届きません。
しかも、この守りの機能の基本部分は無料プランにも付いています。
ここは、初心者ほど恩恵が大きい部分です。
自分でサーバーを借りて公開すると、この守りは自分で用意しなければなりません。
3つめの仕事:動かす
ここが、Cloudflareが単なる配送業者と違うところです。
受付に届いた通信に対して、受付の場所でプログラムを動かして、その場で答えを作って返せます。
これがWorkers(ワーカーズ)と呼ばれているもので、この教科書の主役の1つです。
お菓子屋さんのたとえで言うと、各地の営業所に「かんたんな加工ができる作業台」が置いてある状態です。
本店まで運ばなくても、近くの営業所で包装して渡せます。
速いですよね。
そして、しまっておく場所も用意されています。
画像やPDFを置く倉庫がR2(アールツー)です。
第9章から、この倉庫を実際に自分で作ります。
なぜ、個人が無料で使えるのか
Cloudflareには無料プランがあります。
しかも「機能をほとんど削った体験版」ではなく、実際に使えるものです。
数字で見てみます。
- プログラムを動かす(Workers)… 1日10万リクエストまで無料
- ファイルを置く(R2)… 10GBまで無料。
しかもダウンロードされるときの通信料がかからない
個人が作るものなら、まず使い切りません。
特に2つめは効いてきます。
他社のファイル置き場は「見られた回数だけ通信料がかかる」形が主流で、うっかりバズると請求が跳ねます。
R2にはその心配がありません。
もちろん、Cloudflareは慈善事業ではありません。
大企業向けの有料契約で稼いでいて、無料プランは入り口として開放されています。
僕たちはその入り口を、遠慮なく使わせてもらう立場です。
リクエスト
「このページを見せてください」という1回のお願いのことです。
ページを1枚開くと、ページ本体・画像・文字の飾り付けなどで、リクエストは複数回発生します。
1日10万回は、個人のサイトにはかなり余裕のある数字です。
この章のまとめ
Cloudflareは、あなたと世界中の見る人の間に立ちます。
そこで、速くして、守って、さらにその場でプログラムまで動かします。
そして個人が始めるぶんには、お金がかかりません。
次の章では、「そもそもWebサイトが表示されるとき、裏で何が起きているのか」を見ます。
ここを1回だけ通っておくと、この先に出てくる言葉が全部つながります。
章末チェックリスト
この章は読了です。次は第2章に進みます。